コラム

ボックスカルバートとは?構造・利点・用途・種類を分かりやすく解説

道路や河川の維持管理において、ボックスカルバートは欠かせない構造物のひとつです。
近年は豪雨や地震などの自然災害が増加しており、より高い品質とスピーディーな施工が求められるようになっています。

本記事では、ボックスカルバートの基本的な構造からその利点、主な用途、種類まで、体系的に解説します。

ボックスカルバートとは?

ボックスカルバートは、地中に設置される箱型の鉄筋コンクリート構造物です。
別名で「鉄筋コンクリート製矩形きょ」とも呼ばれ、水路や道路の横断通路、電線や通信線の収容など、幅広いインフラ整備で利用されています。

名称のとおり箱型の断面を持つため、設置時の安定性が高く、基礎構造を簡略化することができます。また、円形管と比べて同じ断面積でも内部の有効空間を広く確保できるため、空間をより効率的に活用できます。

日本では1963年に鶴見コンクリート株式会社が初めて開発しました。
当時、東京オリンピックに向けて建設が進められていた横浜新道では、施工スピードの向上と建設コストの削減が求められており、現場打ち方式に代わるプレキャスト製品として導入されました。

プレキャスト化によって、部材を薄くしながらも十分な強度を確保できるようになり、品質の安定化と工期短縮を実現しました。この成果により、現在でも公共工事や民間工事を問わず、多くの現場で採用されています。

近年は、豪雨や老朽化対策の重要性が高まる中で、安定した品質を持つプレキャスト製品が注目されています。

現場打ちと比較するとコスト面でも優位性があり、限られた予算と人員で効率的かつ確実にインフラ整備を進める手段として、ボックスカルバートの重要性は今後さらに高まっていくと考えられます。

ボックスカルバートの利点

ボックスカルバートが多くの現場で採用されているのは、構造や施工面で多くの利点があるためです。ここでは、そのなかでもとくに重要な3つの利点について解説します。

強度と耐久性が高い

ボックスカルバートは鉄筋コンクリート構造でつくられており、高い強度と耐久性を備えています。道路や鉄道の下に設置した場合でも、重い荷重に対して十分な耐力を発揮します。

コンクリートは耐食性や耐侵食性にも優れており、長期間にわたって安定した性能を維持できます。老朽化したインフラを更新する際には、プレキャストコンクリートの信頼性の高さが安心につながります。

さらに、工場で一貫して製造管理を行うため、品質のばらつきが少なく、設計通りの性能を安定して発揮できます。現場の天候や施工条件に左右されにくく、均一で高品質な製品を供給できる点も大きな利点です。

カスタマイズ性に優れている

ボックスカルバートは、基本的に箱型の形状ですが、さまざまなサイズや形状に対応できます。小型の道路横断用から、大断面の地下河川まで、用途に応じて最適な製品を選択可能です。

内空断面は、約300mm角の小型製品から、数メートル規模の大型製品まで幅広く対応しています。現場の条件や要求される性能に合わせて、柔軟に製品を選定できる点が大きな魅力です。

また、分割型製品を選べば、狭い場所への搬入や、大断面化にも柔軟に対応できます。現場での組み立て方式により、重機の小型化や施工の効率化も実現できます。

工期が短い

プレキャスト製品を使用すると、現場での施工時間とコストを大幅に削減できます。

工場で製造された製品を現場に搬入して据え付けるだけで施工が完了するため、作業を効率的に進められます。

一方で、現場打ちコンクリートでは、型枠の組み立てやコンクリートの打設、養生、型枠の解体など多くの工程を経る必要があります。さらに、天候の影響で工期が遅れる場合もあり、計画通りに進行しないケースが少なくありませんでした。

プレキャスト化によって、これらの課題を解消できます。

災害発生時の緊急復旧工事でも迅速に対応できるようになり、地域住民への影響を最小限に抑えられます。また、人員が限られた現場でも効率的に施工を進められるため、人手不足に悩む自治体にとっても大きな利点となります。

ボックスカルバートの主な用途

ボックスカルバートは、その優れた特性から幅広い分野で活用されています。ここでは、代表的な5つの用途を紹介します。

水路・排水路

ボックスカルバートの最も一般的な用途は、下水道や雨水管路としての活用です。都市部における排水システムの重要な構成要素として、広く利用されています。

近年、豪雨による都市型水害が増加する中で、雨水貯留施設や浸透施設としての役割も注目されています。雨水を一時的に貯留し、下水道や河川への負担を軽減することで、浸水被害の防止に貢献しています。

浸透機能を備えた製品では、雨水を地下に浸透させ、自然な水循環システムの維持を支援します。これにより、地下水の涵養(かんよう)にも寄与することができます。

通信線や電気線の収容

ボックスカルバートは、共同溝として電線や通信ケーブルを収容する用途でも広く採用されています。地中化により、都市景観の向上に貢献するとともに、メンテナンス作業の効率化も実現します。

複数の事業者の設備を一括して収容できるため、道路の掘り返し工事を減らすことができ、交通への影響を最小限に抑えることができます。

道路や線路の橋梁

ボックスカルバートは、道路や鉄道が河川や水路を横断する際の構造物として広く活用されています。交通インフラの構造的な支持と、水流の確保を両立させることができます。

また、アンダーパスとして、道路が鉄道や別の道路の下を通過する場合にも使用されます。立体交差を実現することで、交通の円滑化と安全性の向上に寄与します。

地下道

ボックスカルバートは、歩行者や車両の通行路としての地下道にも広く採用されています。駅周辺の地下通路や幹線道路の横断施設として、安全な移動空間を提供します。

プレキャスト製品を使用することで、地上の交通や商業活動への影響を最小限に抑えつつ、効率的に地下空間を構築することができます。

野生動物の通り道

近年、注目されているのが、道路下の動物横断施設としてのボックスカルバートの活用です。野生動物のミティゲーション(環境影響の緩和措置)対策として、ボックスカルバートは重要な役割を果たしています。

シカ、イノシシ、キツネ、タヌキなど、大型から小型の哺乳類が安全に道路を横断できる通路を提供し、ロードキルの防止や生息域の分断解消に貢献します。これにより、生態系の保全にも寄与しています。

このように、ボックスカルバートは単なる排水構造物にとどまらず、インフラとして多面的な役割を担う重要な資材です。環境配慮という公共事業特有の視点においても、その価値が高く評価されています。

ボックスカルバートの主な種類

ボックスカルバートは、構造や機能に応じてさまざまな種類に分類されます。現場の条件や求められる性能に合わせて、最適な製品を選定することが重要です。

PCボックスカルバート

PCボックスカルバートは、PC鋼材を使用したポストテンション方式のプレストレストコンクリート構造を採用しています。この方式により、コンクリートにあらかじめ圧縮力を導入することで、ひび割れの発生を抑制します。

鋼材の腐食リスクが低く、水密性や耐久性に優れているのが特徴です。また、部材厚を薄くできるため、掘削土量を削減し、軽量化により施工機械の小型化が可能となります。これにより、経済性にも優れています。

PRCボックスカルバート

PRCボックスカルバートは、高強度コンクリートと高張力異形鉄筋を組み合わせ、わずかなプレストレスを導入した構造の製品です。プレストレスト鉄筋コンクリート構造により、高い靱性とひび割れの制御機能を備えています。

水密性や耐久性に優れ、設計時には限界状態設計法にも対応可能です。構造物として求められる性能を確実に発揮できる点が高く評価されています。

ビッグボックス

ビッグボックスは、大断面化を実現した製品です。分割されたプレキャスト部材を現地で組み立て、底版部は現場打ちコンクリートで施工する構造となっています。

アンダーパスや地下河川など、大規模な地下構造物に適しています。プレキャスト部材の利点を活かしつつ、大断面の要求にも柔軟に対応できる点が特徴です。

耐震型ボックスカルバート(IBボックスカルバート)

耐震型ボックスカルバートは、継手部に耐震性能を持たせた製品です。地震時の地盤変位に対応できる構造により、ライフラインの安全性を高めます。

抜け出し量や屈曲角に応じて複数のタイプが用意されており、現場条件に合わせて最適な製品を選択できます。地震の多い日本において、重要幹線や避難路の整備において耐震性能が重視されるため、この製品はとくに重要な役割を果たします。

浸透ボックスカルバート

浸透ボックスカルバートは、雨水の地下浸透機能を付加した製品です。側面や底面に浸透孔を設けることで、雨水を地下に浸透させます。

これにより、下水道や河川への流出を抑制し、都市型水害の軽減に貢献します。また、土壌の乾燥化を防ぎ、土中の生態系の保全にも効果があります。自然な水循環システムの維持を支援し、河川の平常水量確保にも役立ちます。

フジコンでは、幅広いサイズと用途に対応する協会型ボックスカルバートや、独自規格のF-BOXを提供しています。公共工事に求められる高品質と迅速な設計対応を両立させ、お客様の課題解決をサポートしています。

まとめ

ボックスカルバートは、箱型断面により設置時の安定性が高く、円形管よりも広い有効空間を確保できる地下埋設構造物です。プレキャスト化により、品質が安定し、現場打ちと比較して工期短縮とコスト削減を実現します。