側溝とは?工事の必要性から種類ごとの特徴まで分かりやすく解説
設計業務において、側溝の選定は排水計画の根幹をなす重要な判断です。しかし、PU側溝、L型街渠、自由勾配側溝など、多様な製品が存在するため、それぞれの特性を正確に理解しておく必要があります。
本記事では、側溝の基本的な定義から工事の必要性、そして種類ごとの特徴まで、設計者が押さえておくべき知識を解説します。
側溝とは?
側溝とは、道路に降った雨水をスムーズに排水するために設けられた溝のことです。道路構造物の一部として、道路に沿って連続して設置されるのが一般的です。
その役割は、雨水を集めて下水道や河川へ流すことです。道路に水がたまると、車両の走行に支障をきたすだけでなく、冠水や浸水被害を引き起こす可能性があります。そのため、側溝はこうしたトラブルを防ぐために欠かせない排水施設として機能します。
また、側溝には雨水排水以外にも複数の機能があります。
- 路面の汚れやゴミを流し、道路の美観維持
- 農地へ水を送るための用水路
- 車道と歩道を区切る境界
これらの役割により、側溝は道路環境の安全性と快適性を保つ重要なインフラといえます。
側溝の工事をしなければならない理由
側溝の設置は、法令によって義務付けられている場合があります。
道路構造令第26条では「道路には、排水のため必要がある場合においては、側溝、街渠、集水ますその他の適当な排水施設を設けるものとする」と定められています。
この規定によって、道路管理者には適切な排水施設を整備する責任が課せられています。
また、近年はゲリラ豪雨や大型台風の増加により、短時間で大量の雨が降るケースが多くなっています。こうした気象条件の変化に対応するためにも、側溝の整備や改善は以前より重要性が増しています。
法令遵守だけでなく、道路の安全性と地域の安心を守るためにも、側溝工事は必要不可欠なインフラといえます。
主な側溝の種類とそれぞれの特徴
側溝には、設置される場所や目的によってさまざまな種類があります。種類ごとの特性を理解しておくことで、現場に適した側溝を選定できるようになります。
ここでは、代表的な側溝の種類を詳しく見ていきましょう。
PU側溝(U字側溝・道路用側溝)
PU側溝は、断面がU字型をした側溝です。日本産業規格(JIS規格)で寸法が定められており、品質が標準化されているため、全国で広く採用されています。
U型側溝には「上ぶた式U型側溝」と「落ちふた式U型側溝」の2種類があります。
- 上ぶた式U型側溝:側溝の蓋の部分にアゴがない
- 落ちふた式U型側溝:側溝の蓋の部分にアゴがある
上ぶた式は蓋をそのまま載せる構造のため、施工が比較的簡易でコストを抑えやすい点が特徴です。一方で、落ちふた式は側溝本体に蓋を支える「アゴ」が設けられているため、蓋がずれにくく、車両が通行する道路でも安心して使用できます。
PU側溝は施工性に優れ、構造がシンプルで設置しやすいことから、多くの土木現場で長年使用されてきました。コンクリート製のため長期間にわたって機能を維持でき、適切な勾配を確保すれば効率的に雨水を排水できます。
一方で、車道用として使用する場合は注意が必要です。車両通行によって蓋に振動が伝わり、ガタつきや破損が発生するケースがあります。
現場打ち側溝
現場打ち側溝は、現場で型枠を組み、コンクリートを流し込んで成形するタイプの側溝です。
設置場所の形状や勾配に合わせて柔軟に調整できるため、カーブや勾配変化が多い道路など、対応が難しい箇所に適した工法として採用されています。また、継ぎ目が少なく、強度や水密性の面でも優れています。
しかし、型枠の組立てから養生まで全工程を現場で行うため、工期が長くなる・人件費がかかるといったコスト面の課題があります。また、天候の影響も受けやすく、品質の安定には施工技術が求められます。
L型街渠(がいきょ)
L型街渠は、断面がL字型をした側溝です。縁石と側溝が一体化している形状が特徴で、雨水を受ける機能と車道・歩道の境界を形成する機能を兼ね備えています。
施工面では、既製品を設置するだけで縁石と側溝を同時に整備できるため、工期短縮・施工の簡略化が可能です。補修や交換もしやすく、維持管理が比較的容易である点もメリットです。
ただし、流量が多い場所には適しておらず、大量の雨水が流れ込む箇所には不向きです。
自由勾配側溝
自由勾配側溝は、側溝本体の高さを自由に調整できる構造をもつ側溝です。道路の勾配と水が流れるための勾配が一致しない複雑な地形でも、安定した排水を実現できる点が大きな特徴です。
ほかの側溝は、本体自体にあらかじめ勾配が設けられているため、道路の縦断勾配に合わせて設置すると、必ずしも適切な勾配にならないケースがありました。
一方、自由勾配側溝では本体を水平に設置し、底部にインバートコンクリートを打設して、必要な勾配を現場でつくります。さらに、側壁の高さが10cm刻みで製品化されているため、現場の条件に応じて細かな調整が可能な点も大きなメリットです。
管渠型側溝(スリット側溝)
管渠型側溝は、本体と蓋が一体化した構造をもつ側溝です。上部に細長い開口部である「スリット」が設けられており、この隙間から雨水を取り込む仕組みになっています。その形状から「スリット側溝」とも呼ばれています。
最大のメリットは、蓋のガタつきや破損が起きにくい点です。一体構造のため、車両の通行による振動で蓋がズレたり外れたりする心配がありません。
また、スリットが効率的に雨水を取り込むため、十分な排水性能を発揮します。さらに、表面がフラットな構造のため、歩行者や自転車にとって安全性が高いというメリットもあります。
主な側溝蓋の種類とそれぞれの特徴
側溝の機能性や安全性は、本体だけでなく「蓋」の種類によっても大きく変わります。ここでは、代表的な側溝蓋の種類を解説します。
建設省蓋
建設省蓋は、現在の国土交通省(旧建設省)によって定められた規格の側溝蓋です。JIS規格の側溝蓋に比べて、幅が広く厚みがある設計となっています。
車両の通行荷重に対する耐久性を重視して策定された規格で、とくに大型車両が頻繁に通行する道路で使用されます。全国の道路で広く採用されており、標準的な製品として認知されています。
特殊蓋
特殊蓋は、一般的な規格品ではなく、特定の地域や現場の条件に合わせて製造される特注の側溝用蓋を指します。標準規格では対応できない形状や寸法、機能が必要な場合に採用されます。
変則的な側溝形状に合わせた蓋や、景観に配慮したデザイン性の高い蓋、特殊な荷重条件に対応する蓋などが該当します。
グレーチング
グレーチングは、格子状に加工された鉄製の側溝蓋です。集水口として設置され、雨水を効率的に側溝へ導く役割を果たします。
開口部が大きいため集水性能に優れており、短時間に大量の雨が降った場合でも速やかに排水できます。鉄製のため強度が高く、大型車両が頻繁に通行する道路にも適しています。
一方で、格子の隙間に自転車のタイヤやハイヒールのかかとが挟まる事故も報告されています。歩行者や自転車が通行する場所では、細目のグレーチングを選ぶなどの配慮が必要です。
こちらの記事では、グレーチングについて解説しています。
種類・素材や設計者が知っておくべき選定基準も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
側溝は、道路における排水機能を支える重要なインフラです。設計業務では、現場の条件に最も適した側溝を選定することが、安全性と快適性を両立した道路づくりにつながります。
PU側溝、L型街渠、自由勾配側溝など、各側溝にはそれぞれ特性と適用範囲があり、用途に応じた使い分けが不可欠です。また、適切な製品選定だけでなく、安定した供給体制や迅速なサポートも重要な要素となります。
こうしたニーズに応えるため、フジコンでは側溝をはじめとする各種コンクリートを製造・販売しています。群馬県内でのスピーディな対応と豊富な製品ラインナップにより、設計者・施工者の皆様の業務をサポートいたします。
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「誠実なものづくりで社会を支える」を掲げ、高品質な製品とサービスを提供し続けてまいります。側溝選定でお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。